こんにちは。デザイナーのMHです。
10月もあっという間に最終週ですね、いよいよ冬に向かっているといった寒さです。
前回のブログでは「画像解像度について」、前々回は「RGB、CMYKについて」お話をさせていただきました。
どちらもデジタルで画像を作成する際のことがメインでしたが、アナログに出力する際の事情も少なからず関わってきました。
そこで、今回はアナログ…印刷に関する話題を取り上げたいと思います。
さて、印刷するにあたりAdobe Illustratorで印刷用画像を作成していきますが、
「裁ち落とし」
「トンボ」
この2つについてご存知ですか?
これらをしっかり設定しておかないと、残念な印刷結果になってしまうことも。
それぞれどんなものか、早速見ていきましょう。
Adobe Illustratorで画像作成。裁ち落としとは?
では早速Adobe Illustratorで印刷データを作ってみましょう。
今回のサイズはA4、印刷物なのでカラーモードはCMYK、解像度は印刷物なので高いほど綺麗に出力できます、なので高解像度です。
この2点、前回の2本のブログで学んだことをしっかり活かして設定できました。いい感じです。
とここで登場しました、「裁ち落とし」です。
なんのことやらといった感じですよね、「裁ち落とし、何ミリにしますか?」と聞かれています。
裁ち落としとは、用紙の一番端まで写真や絵柄を印刷したい場合に設定する保険のようなものです。
仕上がりサイズから3mmほどに設定しておけばOKとされています。
ではこれがなぜ保険なのか?具体例を見てみましょう。まずは裁ち落とし3mmで新規キャンバスを作成します。
画像の角を拡大した画像が以下です。
内側のラインが本来のA4を示すもので、外側が裁ち落とし3mmを示します。
内側と外側のラインの間には、3mmの間隔があるんですね。
現在、画像自体はぴったりA4サイズです。
画像としてはこれでいいのですが、これを印刷するとなると問題が発生してしまうんです。
印刷物は画像よりも大きめな白い紙の上に印刷され、たくさんの枚数をまとめてザクっと断裁するのがセオリーです。
その際、若干のズレが生じることがあります。
ジャストA4サイズで印刷していた場合、外側にズレて断裁されてしまうとどうなるでしょうか?
外側は白い紙と先ほどお伝えしました。そう、白い部分が含まれてしまう可能性があるのです。
ではどうすればいいのか?
ズレてしまう可能性がある範囲にも、画像を乗せてしまえば解決です。
どういうことかといいますと…
外側の裁ち落としラインまで塗り足しました。先ほどの青いラインまでですね。
こうすれば内側の線に沿って断裁された時に少しズレても、白い部分が含まれてしまうことはありません。
普通3mm以上ずれることはありませんから、これで十分と言えます。
以上が裁ち落としについての解説です。特にポスターなどを外注する際は、裁ち落としラインにまで気を配ってデータを作成しましょう。
Adobe Illustratorで画像作成。トンボ(トリムマーク)とは?
裁ち落としとはなんなのか、なぜ必要なのかについてはばっちりです。
では次に、同じく印刷用画像を作成する際には欠かせない「トンボ(トリムマーク)」について説明していきます。
こちらは難しいことはありません。先ほど説明した、印刷物を断裁する際の目印になるマークのことです。
ソフトによっては「トリムマーク」と表現されることもあります。例によってAdobe illustratorはトリムマーク呼びです。
本ブログ内ではAdobe illustratorを使っていますので、トリムマークと表記していこうと思います。
トリムマークの設定は簡単。仕上がりサイズのオブジェクトを選択した状態で
「メニュー」→「効果」→「トリムマーク」を選ぶだけです。画像の四角と四辺の中央にトリムマークが現れます。
このトリムマーク、設定は簡単なのですが、先ほどの裁ち落とし範囲を考慮すると気をつけなければいけないポイントがあります。
それは、裁ち落とし範囲まで広げたオブジェクトにトリムマークを付けないこと。
A4にプラス裁ち落とし数ミリを足した四角にトンボが付いてしまいます。このトンボに沿って断裁しても
A4サイズにはなりません。裁ち落としを作った意味が皆無です。
対策は、
- 裁ち落とし範囲まで広げたオブジェクトと、仕上がりサイズのオブジェクトでレイヤーを分ける。その上で後者を選択し、トリムマークを付ける
- 仕上がりサイズと同様の透明なオブジェクトを作成し、正確に中央に配置した上でそれを選択し、トリムマークを付ける
です。
ところで、このトリムマークをどのように使って印刷物を断裁するのかについて。
個人で行う場合は、下の画像のように同位置にあるトリムマークの下辺を一直線に結び、
定規などを当てカッターナイフで切ります。
また、その際両短辺から切ると手元が狂いません。長辺から切ると手元が安定せず、用紙をうまく抑えられない原因になります。
印刷した用紙を端まで切り下ろさないことも大切です。理由は先ほどと一緒で、用紙と手元が安定しなくなってしまいます。
私は学生時代、何度も紙の端まで切り下ろして先生の苦笑いを受けていました…
四辺をカットした時、印刷用紙に仕上がりサイズの四角い穴があくようにカットしましょう。
裁ち落としとトンボ(トリムマーク)、2つ設定すれば完璧な印刷物に!
少し長くなってしまいましたが、いかがでしたか?
裁ち落とし、トンボ(トリムマーク)は、特に印刷を外注する際の入稿には絶対に必要です。
今回のポイントに注意しながらデータ作成を行ってくださいね。
また、デザイナーであるならばこの2つは避けては通れない道です。
自分で断裁する機会はなかなか無い、という方も、これらを知ってデータを作ることで、
よりデザインで気をつけなければいけないポイントに気がつくのではないでしょうか?
ぜひ意識してみてくださいね。
それでは今回はここまでです。次回もよろしくお願い致します。