インターネットを利用する際に、私たちがあまり意識しない重要な存在があります。
それが「IPアドレス」です。
IPアドレスは、インターネット上でのデバイスの「住所」にあたるもので、私たちがメールを送ったり、ウェブサイトを閲覧したりする際に必要不可欠です。
しかし、IPアドレスには静的や動的といった種類があり、変更することに多くのメリットがあることをご存じでしょうか？
この記事では、IPアドレスの基礎知識から、変更する方法やその理由、さらには具体的なツールまで詳しく解説していきます。
IPアドレスとは
インターネットに接続する際に、私たちのデバイスはそれぞれ「住所」を持っています。
それがIPアドレスです。
たくさんのネットワークが複雑に絡み合って成り立っているインターネットでは、IPアドレスがあるおかげで、私たちはメールを送ったり、ウェブサイトを閲覧したり、正しくデータをやり取りできるのです。
静的IPアドレス
「静的IPアドレス」は、その名の通り、固定されたアドレスのこと。
一度割り振られると、基本的には変わりません。
これは、いつも同じ場所にあるお店のようなもので、例えばウェブサイトのサーバーなどに使われます。
ビジネスの場面やホスティングサービスでは、静的IPアドレスを使うことで、安定した通信を確保し、ユーザーがいつでも確実にアクセスできるようにしています。
動的IPアドレス
一方で、「動的IPアドレス」は、接続するたびに変わるアドレスです。
家庭で使うインターネットやWi-Fiなどでは、こちらが一般的です。
インターネットサービスプロバイダ（ISP）がその時々でアドレスを割り当てるため、ユーザーは特に何もしなくてもインターネットに接続できます。
また、毎回違うアドレスを使うため、セキュリティの面でも追跡されにくいというメリットがあります。
IPアドレスを変更する理由
IPアドレスを変更することには、いくつかのメリットがあります。
主な理由としては、地域制限を回避することやプライバシーの保護、そしてセキュリティの向上が挙げられます。
ここでは、それぞれの理由について具体的に見ていきましょう。
地域制限の回避
IPアドレスを変更することで、地域ごとに制限されているコンテンツにアクセス可能です。
これは「ジオブロッキング」と呼ばれる仕組みで、特定の国や地域からしか利用できない動画やウェブサイトがこれに該当します。
例えば、海外からは日本の動画配信サービスにアクセスできなかったり、日本からアメリカ限定のNetflixコンテンツを視聴できなかったりすることがあります。
この地域制限を回避するには、アクセスしたい地域のIPアドレスに変更する必要があります。
例えば、日本からアメリカのNetflixを見たいなら、IPアドレスをアメリカのものに変えることで、アメリカのコンテンツを視聴可能です。
同様に、海外旅行中に日本のサービスを利用したい場合も、IPアドレスの変更が便利です。
プライバシーの保護
IPアドレスを変更することで、オンライン上での活動が追跡されにくくなり、プライバシーの保護につながります。
IPアドレスは、どのウェブサイトを訪れたのか、どんなサービスを利用したのかを追跡するために使われることが多いです。
特に、広告会社などがその情報を基にユーザーに最適化された広告を表示したり、データを収集したりすることがあります。
IPアドレスを頻繁に変えることで、これらの追跡を防げるのです。
例えば、頻繁にオンラインショッピングをする人がIPアドレスを変更すれば、その行動をもとにしたターゲティング広告を減らせます。
セキュリティの向上
IPアドレスを定期的に変更することは、セキュリティの向上にも役立ちます。
同じIPアドレスを長期間使い続けると、ハッカーや悪意のある第三者によってそのアドレスが特定され、標的にされるリスクが高まります。
特に、企業のサーバーや重要な個人情報を扱うデバイスの場合、このリスクは無視できません。
定期的にIPアドレスを変えれば、攻撃者が特定のアドレスを追跡しにくくなり、ネットワークやデータの保護につながります。
IPアドレスを変える5つの方法
IPアドレスを変更することで、地域制限の回避やプライバシー保護、セキュリティ向上など、さまざまなメリットがあります。
ここでは、IPアドレスを変更するための代表的な5つの方法をわかりやすく解説します。
ルーターを再起動する
もっとも手軽な方法の1つが、ルーターを再起動することです。
多くのインターネットサービスプロバイダーは、接続するたびに動的なIPアドレスを割り当てているため、ルーターを一度電源オフにして再起動すれば、新しいIPアドレスが自動的に割り当てられることがあります。
ただし、固定IPアドレスを使っている場合や、ISPの設定によってはこの方法が使えないこともあります。
また、ルーターの管理画面にログインして手動でIPアドレスを設定可能ですが、これは専門的な知識や操作が必要です。
プロキシサーバーを使用する
プロキシサーバーを使うことで、自分のIPアドレスを隠し、代わりにプロキシサーバーのIPアドレスを利用できます。
プロキシサーバーは、インターネット通信を中継する役割を果たすため、ユーザーのIPアドレスを隠し、匿名性を高められます。
企業での利用が多いですが、地域制限を回避するために一般のユーザーが使うこともあります。
ただし、無料のプロキシサーバーは通信速度が遅かったり、セキュリティ面で不安が残る場合があるため、用途に応じて信頼性のあるものを選ぶことが大切です。
Torブラウザを利用する
Torブラウザは、匿名性を重視する人に最適なツールです。
このブラウザを使用すると、通信が世界中の複数のサーバーを経由するため、IPアドレスが複雑に分散され、追跡が非常に困難になります。
ただし、通信が多くのサーバーを経由するせいで、インターネットの速度が遅くなる傾向があります。
そのため、速度が求められる作業にはあまり向いていません。
DNSサーバーを変更する
DNSサーバーを変更することでも、IPアドレスを間接的に変えられます。
DNS（Domain Name System）は、ウェブサイトのURLをIPアドレスに変換する仕組みで、これを異なるサーバーに変更すると、アクセス先のIPアドレスが変わることがあります。
これにより、地域制限の回避やプライバシーの保護が期待できます。
ただし、DNS設定を変更するには技術的な知識が必要です。
設定ミスを避けるために、慎重に進めることが重要です。
VPNを使用する
VPNはIPアドレスを変える最も一般的で効果的な方法です。
VPNを使うと、通信が暗号化され、VPNサーバーを経由することで、自分のIPアドレスが隠され、代わりにVPNサーバーのIPアドレスが使用されます。
これにより、地域制限の回避やプライバシーの保護が簡単にできるだけでなく、セキュリティも向上します。
信頼性の高いVPNサービスを利用すれば、通信速度やセキュリティ面でも安心です。
オンライン活動を安全に、かつ匿名で行いたい人には、VPNは最適な選択肢です。
IPアドレスを変えるのにおすすめのVPN3選
IPアドレスを変更するためには、信頼できるVPNの選択が重要です。
ここでは、セキュリティ、速度、使いやすさに定評があり、IPアドレスの変更に最適なおすすめVPNを3つ紹介します。
| サービス名 | NordVPN | ExpressVPN | |
|---|---|---|---|
| 月額料金 | 730円/月～ | 8.33ドル/月～ | 388円/月～ |
| サーバー 設置国数 | 111ヶ国以上 | 105ヶ国以上 | 100ヶ国以上 |
| サーバー数 | 6,000台以上 | 3,000台以上 | 3,200台以上 |
| 同時接続可能 デバイス数 | 10台 | 8台 | 無制限 |
| ノーログ ポリシー | 記載あり | 記載あり | 記載あり |
| 保証・無料期間 | 30日間返金保証 | 30日間返金保証 | 30日間返金保証 |
| 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
NordVPN
| 料金（税込） | 1ヶ月:2,270円/月 1年:960円/月 2年:730円/月 |
| サーバー設置数 | 111ヶ国以上6,000台以上 |
| 接続デバイス数 | 最大10台 |
| 運営会社 | Tefincom S.A. |
| サポート体制 | 24時間365日（日本語対応可） |
| 無料体験 | 30日間の返金保証 |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
- 多くの国にアクセスできる
- 接続速度が速い
- セキュリティが高い
NordVPNは、世界中に6,000台以上のサーバーを持ち、111ヶ国以上に接続できるのが大きな魅力です。
この豊富なサーバー数により、様々な地域のIPアドレスを簡単に選べるため、地域制限を回避したいときや海外のコンテンツを視聴する際に非常に便利です。
また、AES-256ビット暗号化を採用しており、強力なセキュリティが保障されているため、オンライン上でのプライバシー保護も万全です。
さらに、NordVPNは厳格な「ノーログポリシー」を採用しているため、ユーザーのオンライン活動が記録されることはありません。
特に、仮想通貨の取引や動画の視聴など、遅延が許されない作業で安定した高速通信を提供してくれるのも大きなポイントです。
最大10台のデバイスで同時に接続できるので、スマートフォンやPC、タブレットなど複数のデバイスを持っている人にも使いやすいです。
初めての利用でも30日間の返金保証があるため、安心して試せます。
ExpressVPN
| 料金（税込） | 1ヶ月:12.95ドル/月 6ヶ月:9.99ドル/月 12ヶ月:8.33ドル/月 |
| サーバー設置数 | 105ヶ国3,000台以上 |
| 接続デバイス数 | 最大8台 |
| 運営会社 | Kape Technologies |
| サポート体制 | 24時間365日（日本語対応可） |
| 無料体験 | 30日間の返金保証 |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
- 主要な国にアクセスできる
- 通信速度が速くて安定
- 24時間サポートが受けられる
ExpressVPNは、業界でトップクラスの速度と安定性で高い評価を得ています。
AES-256ビット暗号化による強固なセキュリティを備えており、ノーログポリシーによりユーザーのプライバシーも徹底的に保護されています。
3,000台以上のサーバーを選択できるため、IPアドレスの変更先も豊富に選べます。
特に、ExpressVPNは速度が求められる作業に最適です。
動画視聴や大容量ファイルのダウンロード、オンラインゲームや仮想通貨の取引でも、ストレスのないスムーズな通信が可能です。
料金はやや高めですが、その分、パフォーマンスやセキュリティ面で非常に優れたサービスを提供しているので、価格に見合った価値があります。
また、日本語対応の24時間サポートがあるため、技術的な問題が発生した場合もすぐに対応してもらえます。
Surfshark
| 料金（税込） | 1ヶ月:2,378円/月 1年:548円/月 2年:388円/月 |
| サーバー設置数 | 100ヶ国3,200台以上 |
| 接続デバイス数 | 無制限 |
| 運営会社 | Surfshark B.V. |
| サポート体制 | ライブチャット・メール |
| 無料体験 | 30日間の返金保証 |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
- 同時接続台数が無制限
- コスパが高い
- 設置国とサーバー数が多くてアクセスしやすい
Surfsharkは、コストパフォーマンスの面で優れたVPNサービスとして知られています。
特に同時接続が無制限である点は他のVPNサービスにはない大きな特徴です。
家族や複数のデバイスを持つ人にとっては、この柔軟性が大きなメリットになります。
もちろん、AES-256ビット暗号化を使ったセキュリティ対策もばっちりで、ノーログポリシーも徹底されています。
Surfsharkは3,200台以上のサーバーを選択でき、手頃な価格でありながら、安定した接続が可能です。
特に、動画の視聴やオンラインゲームにおいて、遅延を感じにくい点も評価されています。
2年プランを選べば、さらに月額料金が安くなるため、予算を抑えたい方にもおすすめです。
スマホでIPアドレスを変える方法【iPhone・Android】
スマートフォンでIPアドレスを変更する方法は、デバイスによって少し異なります。
ここでは、iPhoneとAndroidそれぞれの手順を簡単に説明します。
iPhoneの変更方法
iPhoneでIPアドレスを変更するには、ホーム画面から「設定」を開いて「Wi-Fi」を選択します。
次に、今接続しているWi-Fiネットワークの右側にある「(i)」アイコンをタップすると、ネットワークの詳細情報が表示されます。
この画面から「IPを構成」を選び、「手動」をタップします。
ここで、自分で新しいIPアドレスやDNSの設定を入力可能です。
設定が完了したら、新しいIPアドレスでネットワークに接続できるようになります。
Androidの変更方法
Androidでも、IPアドレスを簡単に変更できます。
まず「設定」アプリを開き、「ネットワークとインターネット」を選択します。
その後、「Wi-Fi」をタップし、接続中のWi-Fiネットワークを選びましょう。
次に「詳細オプション」を開き、「IP設定」を「静的」に変更します。
これで、新しいIPアドレスを手動で入力できる画面が表示されるので、変更したいIPアドレスを入力しましょう。
最後に、Wi-Fiネットワークに再接続すれば、新しいIPアドレスが適用されます。
パソコンでIPアドレスを変える方法
パソコンでIPアドレスを変更することは、インターネット接続のトラブルを解決したり、プライバシーを保護したり、特定のネットワーク要件に対応するために便利です。
ここでは、WindowsとmacOSでのIPアドレスの変更手順を説明します。
Windowsの変更方法
Windows 10や11でIPアドレスを変更する方法は以下の通りです。
まず、「コントロールパネル」を開きましょう。
次に「ネットワークと共有センター」をクリックします。
ここでは、現在使っているネットワーク接続の情報が表示されます。
次に「アダプターの設定の変更」をクリックし、IPアドレスを変更したい接続（Wi-Fiやイーサネット）を右クリックして「プロパティ」を選びましょう。
例えば、Wi-Fi接続を変更したい場合は、Wi-Fiアイコンを右クリックします。
続いて「インターネット プロトコル バージョン4（TCP/IPv4）」にチェックを入れましょう。
そして、「プロパティ」をクリックします。
ここで、IPアドレスを自動で取得するか、手動で入力するかを選べます。
自動取得ではルーターがIPアドレスを割り当てますが、手動では自分でIPアドレスを設定できます。
設定が完了したら「OK」をクリックして変更を適用しましょう。
macOSの変更方法
macOSでIPアドレスを変更する場合は、まず「アップルメニュー」から「システム環境設定」を開き、「ネットワーク」を選びます。
左側のリストから現在接続しているネットワーク（Wi-Fiやイーサネット）を選び、右下の「詳細」ボタンをクリックしましょう。
詳細設定画面が開いたら、上部にある「TCP/IP」タブを選択します。
「IPv4の設定」の近くにあるドロップダウンメニューをクリックしましょう。
そして、「手入力」を選んで、新しいIPアドレスを入力します。
一般的には、現在のIPアドレスの末尾部分だけを変更することが多いです。
例えば「192.168.0.88」の場合、末尾の「88」を別の数字に変えて「192.168.0.XX」と入力します。
また、「DHCPリースを更新」を選べば、Macが自動的に新しいIPアドレスを取得することも可能です。
最後に「OK」をクリックし、「適用」を選べば、IPアドレスの変更が完了します。
IPアドレス変更に関するよくある質問
IPアドレスの変更について、よくある疑問にお答えします。
IPアドレスを変更するとどうなるのか、またそのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
IPアドレスを変更するとどうなるの？
IPアドレスを変更すると、まずオンラインでのプライバシーが向上します。
特に、ターゲティング広告やウェブ上での行動を監視されるのが気になる人にとっては、IPアドレスの変更は有効な手段です。
さらに、IPアドレスの変更は地域制限の回避にも役立ちます。
例えば、日本からではアクセスできないアメリカのコンテンツやサービスも、IPアドレスを変更すれば利用可能です。
また、セキュリティ面でもIPアドレスの変更は効果的です。
不正アクセスのリスクを減らし、安全なネットワーク環境を保てます。
IPアドレスを変更するデメリットは？
IPアドレスを変更することで得られるメリットは多いですが、いくつかのデメリットもあります。
まず、頻繁にIPアドレスを変更する場合、その都度ネットワーク設定を手動で更新する必要があるため、面倒な作業になることがあります。
特に、静的IPアドレスを使っている場合は、設定変更が複雑になることがあります。
また、一部のサービスでは、連続したIPアドレスの変更を「不審な行動」とみなし、アカウントが一時的にロックされるリスクも少なくありません。
例えば、銀行やSNSのサービスでこれが起きると、再ログインや本人確認が必要になることがあります。
さらに、IPアドレスを変更して地理的に離れたサーバーに接続した場合、通信速度が遅くなることもありますので注意しましょう。
まとめ
IPアドレスは、インターネット通信を支える基盤であり、その役割や種類、さらには変更のメリットを知ることで、より安全で快適なインターネット体験が可能になります。
地域制限の回避やプライバシー保護、セキュリティ向上といった理由でIPアドレスを変更する方法はさまざまです。
特に、VPNを活用することで、簡単かつ効果的にIPアドレスを変更でき、インターネットを安全に楽しめます。
ぜひ、自分に合った方法を見つけて、賢く活用しましょう。